学長祝辞


学長祝辞

大学における父母会の力

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  • 大東文化大学学長
  • 太田 政男

 青桐会の50周年、おめでとうございます。
 50年前といえば、大東文化大学が大きく発展を始めた時期です。
 東松山キャンパスを開発することで、それまで2学部4学科だった大学が現在の8学部19学科を擁する文化系総合学部へと急速に成長してきました。また、駅伝、ラグビー、レスリングなどを強化することで「スポーツ大東」の名を高からしめることになりました。これも、その間に賜った青桐会のみなさんの絶大なご支援、ご協力があったからこそです。心から御礼申し上げます。
 ぼくが本学に赴任したのはもう35年前のことですが、当時の新聞に「大学に父母会?」と揶揄するような記事が出たこともありました。ぼく自身も、率直に言って似たような思いをしたこともあります。それは、「大学生といえば自立した大人」であり、少なくともそのように処遇されるべきだということからでした。このことについては、今もそのように考えています。さらに言えば、乳幼児であれ、小学生であれ、子どもは「独立した人格」です。
 しかし、それとは別に、青桐会の役割は非常に大切だと思います。 
 そもそも子育てや教育においては子ども・若者自身の学習権を土台にして、親に第一義的な権利と責任があり、それを学校・大学の教職員に信託しているのだと思います。親が学校・大学に何らかのかたちで参加し発言することは当然の権利です。そして、その切実な願いや要求をふまえて教育のいとなみが行われるべきです。教育は、教職員と親・保護者の共同の事業です。大学といえど、それは同じです。
 近年は「開かれた学校・大学」づくりが叫ばれ、親・保護者をふくむ学校・大学に対する外部評価が強調されています。大学は親・保護者のみなさんから貴重なお金を預かり、それで教育の仕事が成り立っています。その重い事実認識に立って大学は厳しい自己点検をしなければなりませんが、そればかりが強調されると教育は「商品」と化してしまいます。教職員=サービスの供給者、保護者=消費者という図式からは批判と対立、保護者の孤立が生まれやすくなります。モンスターペアレントと言われる現象もここに起因していると思います。
 教育のいとなみは、生身の人間同士のつながりのなかで行われます。青桐会の役割もまさにそこにあると思います。父母同士、あるいは父母と教職員の間の討論と学び合いでそういうつながりがつくられていきます。それが共同の大学づくり、教育づくりの基礎となります。そういう意味で青桐会は、大学の欠かすことのできないパートナーです。
 今後とも大東文化大学をともにつくる者として、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。

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